2008 ニコニコ 雑感 まとめ
私はいわゆるニコ厨だ。
だが、ニコニコ内部における独自の文化形成過程にはあんまり興味が無かったりする。
特に興味があるのはその設計思想だ。
この観点はすでに濱野氏の「情報環境研究ノート」によって考察されてるが、まとめれば、過去時制におけるユーザーの痕跡をデータベース化し現在時制においてそれらをまとめて再生するというものだ。
この「擬似同期型アーキテクチャ」は閑散状態の前面化を起こさずに、いつでも祭り状態を作り出す。
インターネットという非同期プラットフォーム上に、擬似的に同期環境を生み出すという設計思想はかなり画期的でこれからの潮流にもなりえると思うのだけど、結局注目され語られるのはその内部の細分化された「文化」だったりする。
http://wiredvision.jp/blog/hamano/200708/200708161216.html
まぁでもたしかにニコニコの文化はおもしろいのだ。
初期にはもろに「2ちゃんねる」の動画版とされていたのに、誰に決められることなく徐々に独自の路線を突っ走り始める。
膨大なユーザー数を背景に、あちこちに散在していた個人配信者たちはニコニコへと主戦場を移し始め、反応が日々更新されるアーキテクチャはDTMの発表場として最適だった。
最近ではVOCALOIDユーザーがパッケージCDに名を連ねるようになったりと、萌芽だったものは実をつけつつある。
しかも、これらの日進月歩(進化?)の変化はここ2年足らずの間に起きており、ユーザーはこの現象をリアルタイムにしかも無料で観察できるのだ!
こんな遊び場はほかにない。
だが既に「あえて」楽しむというような旧世代的な消費(兄貴動画!)はなくなりつつあり、好きか嫌いか・スゴイかスゴクないかというようなベタな消費にはなりつつある。
けれど同時に、制作者側である者の総体的スキルは確実に向上し、ベタにスゴイモノが多く生まれている。
制作者たちは従来の領域に安住するどころか、今度は可能性を求めて「越境」をはじめ、それに従い消費者たちも越境し始める。
ニコニコという場はその現象を促進する。
誕生でも発見でもなく、越境が始まったんだと思う - 未来私考
VOCALOIDは聞かず嫌いだったのだが、その楽しみ方はいかようにもある。
音楽を聴くだけでなく、その勢力地図をみるという楽しみ方である。
VOCALOIDの分野は分業制が進んでおり、作詞する人・作曲する人・画を描く人・mixする人・PVをつくる人・「歌ってみた」人、実にさまざまだ。
なかでも特に重要な位置を占めてきたのが mixer である。
このカテゴリが成熟してくるにつれ個々の技量は向上したが、
それらがうまく mix されなければハイクオリティのコンテンツは生成されない。
○○P(プロデューサー)として個人がすべて管轄する時代は早くも過ぎ去り、UnitやProject単位での活動が主流となってきているのである。
だが「歌姫論争」にあるように、作成される楽曲の方向性をめぐっては賛否両論である。
あくまで印象ではあるが、確実に、必ずしもミクが歌わなくともいい楽曲は増加傾向にある。
個人的には「新たな分野への挑戦の気骨」を評価の基準としたい。
以下はその評価基準に適った作品群である。
いいなと思ったらProjectやmixerに注目して動画を検索してみるのも一興だ。
高速打ち込み 暴走P
ユーロビート ぶっちぎりP
ラップ おやつP
piano jazz OSTER project
ゴシック OSTER project
ポップ・レクイエム 小林オニキス
民族音楽 ゆにめもP
プログレ いーえるP
malo
番外編
とかち三賢者
未来派P
あさまる+リツカ