W杯寸評Ⅳ

ドイツ × イタリア
    0 − 2


シュバインシュタイガー不在が響いた。
左サイドにボロウスキを置く布陣。
突破力不足で停滞。
キープするボロウスキ
中に切り込みたいラームと重なる。
シュナイダー、ポドルスキの決定機があるも、精度不足で決めきれない。
バラックが徐々に走れなくなり、プレーエリアがサイドに伸びる。
サイドラインに詰められたドイツ、1対1の突破力がない。
プレイの幅が狭まっていく。
途中、シュバインシュタイガーを出すも連戦の疲労で動けない。
試合前から疲労度は分かっていたはずだが、頼らざるを得なかった駒の不足。
オドンコール投入も、グロッソが我慢の徹底マーク。
シンプルにクロスをあげるパワープレイもできない。
個人突破という戦術の無い状態。
イタリアも、トッティの不調、ケールの徹底マークで決められない。
寄せられる前にボールを離したいトッティは、安易なワンタッチパスを連発。
しかし精度が低く、1トップの布陣ではつながらない。
FWトニ → FWジラルディーノ の交代も解決策にはならず。
両者足が止まり、中盤を省く展開。
MFカモラネージ → FWイアキンタ が当たる。
前線で張るイアキンタにロングボール&キープで起点ができる。
MFペロッタ → FWデルピエロ でもう一つ起点。
トッティは走れないが、どフリーにさせるわけにはいかない。
中央、サイド、飛び出し、と攻撃の選択肢が増えた。
最終的には戦術の引き出しの数で決まった。
同ポジションでの入れ替え要員しかいない、意外性不足のドイツ。
局面、展開によって投入できる、さまざまなスタイルの要員がいるドラスティックなイタリア。
MVPは、終始安定したプレイ、あせらずラストパスを出したピルロ



ポルトガル × フランス
      0 − 1


フランス相変わらず堅い。
前半、ポルトガルは外から中への切り込みという強みが出て、少なからず自分たちのリズムがつくれていた。
がしかし、それに頼りすぎた。
ドリブルキープが多いものの、周りの選手の飛び出しがない。
そして、フィーゴに頼りすぎた。
たしかに代表は今大会で最後、出してあげたい。
しかし好調とは言い難く、往年の突破力はない。
途中でシモンとの交代もできたはず。
FWパウレタ → MFシモン。
遅れて MFコスティーニャ → FWポスティガ
微妙にずらした時間の、異なるポジションの交代。
ミゲルの不在。
これでポルトガルは方向性を見失った。
外から中への切込み、飛び出しは無くなり、クロスはことごとく弾かれる。
自分たちのサッカーをやりとおす我慢が足りなかった。
フランスは経験値に裏打ちされた試合運び、クレバー。
開始早々はドリブル突破への対応にてこずっていた。
しかし後半には修正。
なによりパスの供給源であったデコに仕事をさせなかった。
前線でボールを触れないデコ。
そのぶんC・ロナウドフィーゴが突破を仕掛けるが、中央にはパウレタだけ。
ペナルティエリアに入れなければ、ドリブラーもさして怖いものではない。
リベリー、マルダ、中盤の交代はディフェンスのバランスを崩さない。
先取し、守りを固めたフランスを崩すのは至難の業だろう。
ジダンの好調さは相変わらず。
バランスを崩してもボールは取られない。
アンリも1トップに慣れ、スタイルを確立しつつある。
リベリーの安定度も申し分ない。
このままならひょっとすると・・・。
MVPは、デコを完全に潰したマケレレ