携帯電話多機能化の功罪と新たなデジタル・ディバイド

これまでデジタル・ディバイドの問題は、島や過疎地域でブロードバンドサービスが受けられない、といったような「地域間における通信手段の格差」として扱われる場合が多かった。しかしそれとは別のデジタル・ディバイド、つまり「使用する端末による情報格差」の問題も存在する。例えばPCとケータイの情報格差である。
携帯電話は電話やメール機能に加えて、電子マネー、デジタルテレビ受信、GPS、など多機能化が進んでいる。またケータイはPCよりも操作が比較的容易であると考えられ、インターネットへの接続端末としても利用できるためPCを持たずにケータイのみ利用する人も多い。しかしケータイをインターネット端末として使用するには「収集できる情報量が少ない」という決定的な欠点がある。


・欠点の起こる理由
ケータイから閲覧できるのはポータルサイトを経由したケータイ専用のごく限られた範囲の情報であり、PCを使用した場合と比べて収集できる情報量は格段に少なくなる。「Opera」「Scope」といった携帯端末用のウェブブラウザソフトを使えばケータイでもPC用サイトを閲覧できるが、表示画面が小さいために一ページ分の情報を何度も分割して見なければならないなど効率が悪い。


・収集できる情報量が少ないことが起こす問題
情報の検索が難しいために情報の比較も難しくなる。そして比較ができないために一つの答えを求めやすくなる。コミュニケーションが多様な意見に触れられないために蛸壺化し異質な意見を許容しなくなる。


以上挙げたように使用する端末を限定することによる情報格差がユーザーの行動を左右し、特定のパターン傾向を示すようになってしまうことは十分考えられることである。
日本においてケータイは低年齢の内に持つことが多い。そうするとケータイですべて済ませてしまう習慣が身につきやすく、PCスキルを身につける必要性を感じなくなってしまう。また、近年問題になっているケータイ向け学校掲示板でのいじめについては、休み時間・授業中問わずいつでもケータイからネットを閲覧できることが発生要因になっているとも考えられる。


ケータイが触れられる情報は狭く浅い。しかし操作は簡単、何でもできてケータイさえあれば日常生活には困らない。この便利さが問題を見えにくくしている。このような問題をはらんでいる「なんでもできるケータイ」とどのようにつきあっていくべきだろうか?


情報格差 - Wikipedia
フィルタリング (有害サイトアクセス制限) - Wikipedia