イスとはなにか

イスのある文化では、イスはイスである。
疑うことなく座るだろう。
だがイスのない文化で、イスはどのように映るか。
はたして座るだろうか。


人類は進化の過程で二足歩行を選択した。
手の自由度は飛躍的に向上したが、
結果、背骨腰に負担をかけ疲労することとなる。
そのような骨格をもつ人類にとって、座ることは疲労回復という重要な意味を持つ。
地面に座る。
イスに座る。
両者は似て非なる。


日本は古来、イスの文化がなかった。
あるとしても短時間の座位を想定したものであった。
そのためか、西洋に比べてイスのデザイン開発に関する意識は低いと思われる。
現在、学校・オフィス・公共機関でイスが無い所はない。
しかしながら、その座り心地はどうか。
長時間座れる代物は少ない。
それはイスらしきものであって、イスではない。
モノというのは人が必ず直接触れるもので、扱うものだ。
人間の骨格、筋肉、圧力、感覚なしでは語れるものではない。
だが、それらを無視したものがいかに多いか。
座ることに疲れる。
イスの文化がないところに行って、モノを置く。
現地人が疑うことなくそれに座り、長時間座ったものこそ本物のイスといえるだろう。


大学のイスの座り心地が悪い。
毎回尻が痛くなる。


イス - Wikipedia


人間工学 - Wikipedia